公開日:
2025年1月24日
10月7日(土)、BAR原価割れ池袋さんにて、富山県・若鶴酒造『三郎丸蒸留所』のブレンダー・花里さんをお招きし、同蒸留所の歴史やこれからの挑戦、つくり手のウイスキーへの想いについてお話を伺いました。
ウイスキーを製品として世に出す要とも言えるブレンダーだからこそ語ることのできる、三郎丸ならではの取り組みやこれから仕掛ける新たな挑戦のお話を伺いながら、ニューポット(樽熟成前のスピリッツ)を含む6種のウイスキーを堪能しました。
三郎丸の人気ブランドから熟成途中のカスクサンプルといった特別なものまで幅広くご用意いただき、それぞれにどのような狙いを持ってつくっているのかなど、裏話も含めて詳しく聞かせていただきました。
まずはセミナーの冒頭は、全国で人気のハイボール缶「三郎丸蒸留所のスモーキハイボール」で乾杯!
累計販売本数 400万本突破(2024年11月時点)のこのハイボール 缶は、ほどよいスモーキーさとすっきりさのバランスが抜群で食中酒にもピッタリ。
10月上旬のやや残る夏の暑さを吹き飛ばすのには最高の1杯です。
さて、イベントの様子を一部お届けします!
樽熟成前の透明のスピリッツや樽出し原酒といった限定品から人気商品に至るまで多数の三郎丸製品を飲み比べ!
この会のために豪華なラインナップのお酒をたくさん用意していただきました。
ウイスキーの製造方法や三郎丸蒸留所の歴史についての説明を聞く参加者たち。ビギナーにもわかりやすく、丁寧に解説を入れながら話してくださった花里ブレンダー。
日本のウイスキーの歴史や一般的なウイスキーの製造工程、三郎丸ならではの特徴やこだわりについて詳しく伺いました。
三郎丸蒸留所のこれまで
三郎丸蒸留所を運営する若鶴酒造は、文久2年(1862年)創業という長い歴史をもつ日本酒の蔵元です。その歩みは、日本の酒造業の変遷とともにあり、伝統を守りながらも新しい挑戦を続けています。
歴史の節目を振り返ると、大正7年(1918年)の若鶴酒造株式会社設立や昭和27年(1952年)のウイスキー製造免許取得など、重要なターニングポイントが数多くあります。特に昭和28年(1953年)に発売された『サンシャインウイスキー』は、日本のウイスキー文化の初期を支えた製品の一つとして知られています。
詳しくは、「History ofSABUROMARU Distillery」より
三郎丸蒸留所の魅力
蒸留所の歴史や製造工程を初心者にもわかりやすく、丁寧に解説していただき、三郎丸ならではのこだわりや特長について理解を深めることができました。例えば、木製発酵槽を使った発酵や、世界初の鋳造製ポットスチルなど、独自の工夫が随所に凝らされています。
魅力その①:業界初!富山の伝統技術を使った蒸留器(ポットスチル)
三郎丸蒸留所の最大の特徴のひとつが、富山県の伝統技術を活かした世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON(ゼモン)」です。
この蒸留器は、富山が誇る伝統工芸「高岡銅器」の技術を活用して開発されました。通常、蒸留器は銅板を叩いて曲げて作るのが一般的ですが、「ZEMON」は鋳造による一体成型で製造されており、蒸留効率や香味のバリエーションに新たな可能性をもたらしています。
この技術は、世界中のウイスキー業界から注目されるだけでなく、富山のものづくりの力を国内外に広める象徴ともいえます。さらに、「ZEMON」は日本国内だけでなく、ウイスキーの本場イギリスでも特許を取得しており、その革新性と技術力の高さが証明されています。
魅力その②:地域密着!地元産業と連携したウイスキーづくり
三郎丸蒸留所のウイスキーづくりは、地域との深い連携によって成り立っています。たとえば、地元のミズナラ(日本産オーク)を用いた樽づくりは、三郎丸ならではの取り組みです。富山県の職人が加工したこのミズナラ樽は、ウイスキーに独特の香りと深い味わいを与えます。
さらに、地元で採取された大麦を使ったモルティング(麦芽化)や、地元の樽工房との協働で製造されたトースティング(樽焼き)もその一環です。このように、三郎丸蒸留所の製品には、富山の風土や文化が深く息づいています。
また、地元のクラウドファンディングを活用して蒸留所を再建した経緯もあり、地域住民との結びつきの強さが特徴です。この密接な連携が、三郎丸のウイスキーに独自の個性と魅力を生み出しています。
魅力その③:未来志向!伝統に革新を重ねて富山から世界へ
三郎丸蒸留所は、150年以上にわたる若鶴酒造の伝統を継承しつつも、常に革新を追求しています。近年のクラウドファンディングによる蒸留所改修を皮切りに、最新鋭の設備導入や新たな製品開発を積極的に進めてきました。
「ZEMON」をはじめとする革新的な技術に加え、日本初のクラフト蒸留所間での原酒交換を実現するなど、従来の枠組みを超えた挑戦を続けています。
さらに、製品は「シングルモルト三郎丸シリーズ」や「SAB.」といった物語性豊かなブランド展開を行い、富山から世界市場へ発信。三郎丸蒸留所のウイスキーは、国内外で高い評価を得ています。
伝統を守るだけでなく、未来を見据えた挑戦を続ける姿勢が、三郎丸蒸留所を唯一無二の存在にしています。
伝統と革新が共存する若鶴酒造
花里ブレンダーのお話を通じて、三郎丸蒸留所が伝統を大切にしながらも、自社だけでなく業界の未来を見据えて革新的な取り組みを続けていることが強く伝わりました。
160年以上の歴史の中で培われた技術と情熱をもって挑戦を続ける三郎丸蒸留所から目が離せません!
ジャパニーズウイスキーといえば、山崎や余市などが最も有名どころですが、それらと同様に、また独自の路線から現在のジャパニーズウイスキーの地位向上に貢献されてきた『三郎丸蒸留所』を広く深く知ることのできる貴重な体験になりました。
いつか池袋ウイスキーフレンズのメンバーのみんなで富山の蒸留所にも伺いたいですね!